前回のお金編に続いて、最後は雇用に関連する言葉についてみていきましょう。

この記事を書いた人

平井 伴弥(キャリアバンク株式会社 代表取締役社長。これまで中途・新卒採用領域でのべ200社以上の大手~ベンチャー企業の採用支援を行う)
【雇用編】会社の「将来性」を表していることもある

「正社員募集といいながら、試用期間(契約社員)が非常に長い」「正社員はほとんどおらず、アルバイトばかり採用している」といった企業は、業績が悪化していたり、先行きが不安だったりということがあります。特に次の転職先で長く働きたい人は、下記のようなキーワードに着目してください。

「正社員募集(※試用期間あり)」

試用期間なしで採用する企業はあまりなく、通常3~6ヵ月程度の試用期間を設ける場合がほとんどです。ただし、中には試用期間をはっきりと定めない、あるいは試用期間を延長して、いつまでも契約社員扱いのままというケースもあります。残念ながら、試用期間を規制する法律はありません(ただし最長で1年が限度と解釈されることも)。選考の段階で試用期間についてはっきりした回答が得られない場合は気をつけましょう。

「試用期間あり」と記載された求人に応募し、入社しました。入社後3ヶ月くらいで正社員になるものかと思っていましたが、実際に正社員になったのは1年後でした。(50代男性・建設)

「正社員登用あり」

「正社員登用あり」とは、アルバイトや契約社員として採用されるものの、将来は正社員になれる可能性があることを示しています。といってもほぼ全員が正社員登用される会社もあれば、まず正社員登用の見込みがない(実績はあってもごくわずか)という会社もあり、実に様々です。将来は正社員になりたいという思いが強い場合は、これまでの正社員登用の実績(アルバイト・契約社員を何人くらい採用し、そのうち何割くらいが正社員登用されたのか。正社員登用までの期間)について確認しましょう。

「正社員登用あり」とのことでしたが、登用の基準が非常に難易度の高いノルマを一定期間継続してクリアする必要がある、というものでした。(30代男性・コールセンター)

「大量採用」

新しい事業を立ち上げた、事業が急に拡大したという場合を除いて、大勢を採用しようとする会社には注意が必要です。というのも、そもそも採用したくてもなかなか採用できない会社か、あるいは何らかの問題が起こって急に多くの社員が退職したのかもしれないからです。求人票や求人広告に大量採用の背景・理由が書かれていない、またはたずねたときに相手が口ごもるようであれば、何かオープンにしづらい理由があると考えた方がいいかもしれません。

大量の人員を募集しているとのことで、受かりやすいと思って気軽に応募しましたが、実際はとてもブラックな環境でした。従業員を大量に採用し、激務に耐えきれる人だけ残ればいいという考え方のようで、私はすぐに退職しました。(30代男性・不動産)

「ワーキングママも活躍中」

「今の会社では産休や育休が取りにくそうだから、仕事と子育てを両立できる会社で働きたい」という方もいらっしゃるでしょう。ただし、「ワーキングママも活躍中」というのは、あくまでお子さんのいる女性が在籍しているという意味であって、必ずしも正社員とは限りません。中には育児休暇後や短時間勤務制度を利用する場合は、正社員から契約社員やパートに切り替える、という会社もあるようです。

「時短勤務可能でワーキングママも活躍中」という点に魅力を感じて応募しましたが、実際は、ワーキングママとして正社員で働く方はほとんどいなく、パート勤務に切り替えている方ばかりでした。(30代女性・ブライダル)

おわりに

転職は人生に大きな影響をおよぼす重大なライフイベントの一つです。納得のいく仕事を探すためにも、求人票や求人広告をよく読むだけでなく、そこに書かれていることを正確に理解し、それでも分からないことは面接などで質問するよう心がけましょう。

アンケート概要

  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査内容:「求人情報を見る際に注意すべき文言」に関する調査
  • 調査対象者:直近2年以内に転職を経験している方270人
  • 調査期間:2021年8月