コロナ禍で落ち着いていた企業の採用活動が、2021年夏頃から再び活発化しています。求職者側も「コロナ禍で今いる会社の限界が見えた」「将来性のある業界に転職したいと思うようになった」という声をよく聞くようになりました。さらには超高齢社会によってあらゆる業界で人材が不足するため、これから再び人材業界は活況を迎えることでしょう。このような状況をふまえ、現在転職エージェントとして独立する準備を進めている方、あるいは既に新規事業として人材紹介事業を始める準備に入っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?この記事では、有料人材紹介事業の立ち上げに関する基本的な情報と、事業として成功させるために抑えておきたい4つのポイントをご紹介します。

人材紹介事業を立ち上げ、成功させるために知っておきたい4つのポイント

この記事を書いた人

平井 伴弥(キャリアバンク株式会社 代表取締役社長。これまで中途・新卒採用領域でのべ200社以上の大手~ベンチャー企業の採用支援を行う)

ポイント1:有料職業紹介事業の免許要件を確認する

転職エージェントを立ち上げようと色々調べていく中で、「有料職業紹介事業」「無料職業紹介事業」という言葉に出会ったことがあるかもしれません。「有料職業紹介事業」とは文字通り有料で職業を紹介する事業のこと、一般的な人材紹介会社・転職エージェントはこれにあたります。それに対して、「無料職業紹介事業」は手数料や報酬などを受け取らないハローワークや大学のキャリアセンターなどを指します。

有料職業紹介事業を開業するには、所在地を管轄する都道府県労働局を経由して、必要書類を厚生労働大臣に提出して許可を取らなければいけません。その許可を得るためにはいくつか満たさなければいけない要件があります。厚生労働省 職業紹介事業パンフレットをもとに見ていきましょう。

厚生労働省 職業紹介事業パンフレット表紙
厚生労働省 職業紹介事業パンフレット表紙

財産的基礎を有すること

資産の総額から負債総額を控除した額が500万円以上(事業所が複数ある場合は事業所数を掛けた金額)であること、また事業資金として自己名義の現金・預貯金の額が150万円以上であること(事業所が複数ある場合は、1カ所につき60万円を追加)が必要となります。

個人情報を適正に管理し、及び求人者、求職者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること

「個人情報を扱う事業所内の職員の範囲を明確にする」「必要以上の個人情報を収集しない」など、個人情報の扱いや管理が適切に管理される体制が整っていることが求められます。

適正な職業紹介責任者を有すること

職業紹介責任者講習を修了していること、成年に達した後3年以上の職業経験を有することなどが求められます。

職業紹介事業を行うに適切な事業所を有すること

事業所の立地、面積(対面を伴う場合は20㎡以上など)、構造(個人情報の管理ができるかなど)、等からみて職業紹介事業を行うにあたって、適切な事業所であることが求められます。

詳細な要件については、以下のページをご確認ください。
» 厚生労働省:有料職業紹介事業許可基準

ポイント2:他の人材紹介会社や転職エージェントと差別化する

全国に2万以上ある有料職業紹介事業所(※参考:厚生労働省「平成30年度職業紹介事業報告書の集計結果」)があり、ここ数年の傾向を見ると年間2,000件のペースで増え続けています。

人材を求めている企業にとっても、仕事を探している求職者にとっても、数多くの人材紹介会社の中から選べるわけで、裏を返せば自社を選んでもらうために差別化が欠かせません。

では、どういった角度から差別化を図ることが必要となるのでしょうか?参考としていくつか切り口をご紹介します。

IT業界、介護業界、飲食業界などの特定の業界に特化する

一つ目は「特定の業界に特化する」です。特にITや介護、飲食などは慢性的な人材不足に悩んでいる業界なので、特化することでスムーズな立ち上げが実現できるかもしれません。注意したいのは、港湾運送業と建設業は通常の有料紹介事業の許可だけでは取り扱えないこと。これから許可を申請する場合は追加申請が、既に許可を取った後なら変更届と追加申請が必要です。

営業、経理、人事などの特定の職種に特化する

業界ではなく、特定の職種に特化するというアイディアもあります。職種に特化する場合、業界特化型と比べると景気の波に左右されにくいというメリットがあります。例えば飲食や観光等の業界特化型の場合、コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けたであろうことは想像に難くないでしょう。一方、職種特化型であれば幅広い業界の企業と取引できるため、例えば「A業界は採用意欲が低いから採用活動の活発なB業界の企業を中心に取引する」など、柔軟な対応を取ることが可能となります。

20代、ママ、シニアなどの特定のデモグラに特化する

「年齢(20代、シニアなど)」「性別(男性、女性、LGBT)」「勤務地(Uターン、Iターン、リモート)」など、特定のデモグラフィックに特化する人材紹介会社も増えてきています。大手人材紹介会社が狙わないようなニッチなデモグラにフォーカスしてマーケティングを行うことで、集客効率を高めることが期待できます。

ほかにも最近だと副業、時短など働き方に特化した人材紹介会社もあります。これまでの経験を活かし、求職者・採用企業から信頼されるような切り口を探すと良いでしょう。

ポイント3:求職者集客をどうするか

就職したい人や転職したい人を企業に紹介するのが転職エージェントのビジネスモデルですから、まず「求職者」がいなければ話は始まりません。サービス構想の段階で求職者の集客をどうするかしっかり考えておきましょう。

集客を行う際は、ポイント2で解説した差別化ポイントをターゲットである求職者に伝え、サービスの利用を促していきます。集客チャネルとしては「自社サイト(SEO、広告)」「大手転職サイトのスカウトサービス」「転職エージェント向けの求人掲載サービス」などが代表的ですが、最近はLinkedInやTwitterなどSNSで集客する転職エージェントも増えています。

ポイント4:求人開拓をどうするか

人材紹介事業は、成約で初めて売上が成立することが一般的です。そのため求職者集客がうまくいっても、その人達に紹介する「求人」がなければビジネスとして成り立ちません。ではどのようにして求人を開拓するのでしょうか?

知り合いの会社に声をかける

まずやるべきことは「知り合いの会社に声をかける」です。前職や、採用担当をやっている知り合いなど、サービスを導入してくれる可能性のある企業にアプローチしていきましょう。

テレアポする

いわゆる電話営業を通じて企業の求人を獲得する方法です。リスト作成サービスやテレアポを代行してくれるサービスなどを活用することで、多くの企業にアプローチしましょう。

求人データベースサービスを利用する

企業の求人を集めて人材紹介会社に提供している「求人データベースサービス」を活用する方法もあります。特に「人材紹介事業を立ち上げたばかりの転職エージェント」「自社で求人の開拓営業をする余裕がない少人数の転職エージェント」「これまで何かに特化してきたが、他の領域に手を出そうと考えている転職エージェント」などに重宝されるサービスです。

求人データベースサービスを提供している事業者はいくつかありますが、料金やサービス内容も様々です。弊社キャリアバンクが提供している求人データベースサービス「キャリアバンクジョブサーチ」であれば、初期費用無料、成功報酬費用無料でご利用いただけます。さらに今なら2022年8月末まで月額利用料まで完全無料でご利用いただけるキャンペーンも実施中です。

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人材紹介事業をスムーズに立ち上げよう

人材紹介はこれからあらゆる業界で働き手不足が起こると予想される今、将来性が充分にある事業です。本ページでご紹介したような役立つサービスを利用しながら、スムーズな立ち上げを目指しましょう。