人材紹介会社向けCRM比較表

人材紹介会社の業務は、求職者管理や求人管理、企業とのやり取りなど、多岐にわたります。そのため、効率的に情報を整理・活用できるCRM(Customer Relationship Management・顧客管理システム)の導入は、業務効率化や売上アップに不可欠です。しかし、世の中には多くのCRMが存在し、どのシステムを選べば良いのか迷ってしまう方も少なくないでしょう。

本記事では、転職エージェント向けに特化したCRMの料金・機能・導入サポートを比較し、業務に最適なシステム選びをサポートします。本記事を読めば、自社に合ったCRMを効率よく選ぶためのポイントがわかります。

この記事を書いた人
平井 伴弥(キャリアバンク株式会社 代表取締役社長。これまで中途・新卒採用領域でのべ200社以上の大手~ベンチャー企業の採用支援を行う)

人材紹介会社がCRMを導入すべき理由

人材紹介業を行っていると、求職者情報や求人情報、企業とのやり取りが日々膨大に増えていきます。これらを紙やエクセルだけで管理していると、情報の漏れや二重管理が発生しやすく、営業機会の損失にもつながります。またいきなり担当者が退職することになった場合に、漏れなく引き継ぎを行うことが困難であることは想像に難くないですよね。

そこで役立つのが人材紹介会社向けCRMです。CRMを導入することで、以下のようなメリットが得られます。

業務効率の向上

求職者情報や面談履歴、求人案件を一元管理できるため、情報検索や進捗管理にかかる時間を大幅に削減できます。

顧客との関係強化

求人企業とのやり取りや求職者とのコミュニケーション履歴をCRM上で管理することで、タイムリーなフォローや提案が可能になり、成約率の向上につながります。

営業・採用戦略の改善

CRMにはレポートや分析機能が備わっていることが多く、どの求人が人気か、どの営業施策が成果につながっているか、今月の売上着地予想はいくらくらいか、といったデータを可視化できます。結果として、データに基づいた戦略立案が可能になります。

社内ナレッジの蓄積と引き継ぎの容易化

面談記録や営業履歴、案件情報などがCRMに蓄積されるため、担当者が急に休むことになったり退職した場合でも、他のスタッフがスムーズに引き継ぎ対応できます。

このように、CRMを活用することで、人材紹介会社の業務が効率化されるだけでなく、企業・求職者双方へのサービス品質も向上します。

人材紹介会社・転職エージェント向けCRMの選び方

導入前チェックリスト

転職エージェント向けCRMにはさまざまなサービスがありますが、人材紹介会社がCRMを導入する際には、単に「機能が多いから」という理由だけで選ぶのは危険です。自社に合ったCRMを選ぶためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

必要な機能が揃っているか?

転職エージェント向けCRMでは、求職者や求人案件の管理だけでなく、営業や採用活動を効率化するための機能が備わっていることが重要です。自社の業務に必要な機能が揃っているか、事前に確認しておきましょう。

  • 求職者・求人管理機能:応募者情報、面談履歴、求人案件を一元管理できるか
  • 分析・レポート機能:営業や採用の進捗を可視化し、戦略に活かせるか
  • 法令対応:厚生労働省が指定する帳簿を記録、出力できるか

料金、価格は予算の範囲内か?

CRM導入にあたっては、機能だけでなく費用面も重要な判断材料です。初期費用や月額費用、ユーザー数に応じた課金体系が自社の予算に合っているか、また必要な追加機能がオプションで、トータルで支払う費用が高額にならないかを事前に確認しておきましょう。

  • 初期費用・月額費用
  • 課金体型(ユーザー課金、データ量課金ほか)
  • オプション費用

導入・サポート体制は十分か?

CRMを導入しても、初期設定や運用がうまくいかないと効果を最大化できません。データ移行や操作研修、トラブル時の対応など、サポート体制が十分かどうかを確認し、社内でスムーズに運用できる環境が整っているかをチェックしましょう。

  • 初期設定のサポート:初期のデータ設計や操作方法を学ぶ機会が十分に提供されるか
  • トラブル時の対応:問い合わせ窓口やレスポンスの速さは十分か
  • 運用マニュアルやナレッジ提供:社内定着をサポートしてくれるか

操作性はわかりやすいか?

どれだけ多機能なCRMでも、スタッフが操作に手間取ったり、慣れるまでに多くの時間を要するようでは業務効率化の効果は半減すると言っても過言ではありません。直感的に使えるか、モバイル対応していて外出先でも情報確認や入力がスムーズに行えるか等を確認しておくことが大切です。

  • スタッフが直感的に操作できるか
  • モバイル対応しているか(外出先でも情報確認・入力が可能か)

将来的な拡張性は十分か?

CRMは導入時だけでなく、将来的な事業拡大や社員増加にも対応できるかが重要です。会社の規模や事業領域の変化に合わせて、機能追加やユーザー数の拡張が柔軟に行えるかを事前に確認しておきましょう。

  • 会社規模の拡大や事業領域拡張に伴い、機能追加やユーザー増加に柔軟に対応できるか

主な人材紹介会社向けCRM一覧

次に、人材紹介会社向けCRMの主要サービスをご紹介していきます。
※各サービスの仕様は変更となっている可能性があります。最新の仕様は各サービスの公式サイトをご確認ください。

Excel・Googleスプレッドシートコスト最小自由度高

ExcelやGoogleスプレッドシートは、人材紹介会社における顧客管理や候補者情報の整理に広く使われる表計算ツールです。データの一覧化やフィルター機能、条件付き書式などを活用することで、応募者情報や面談履歴、契約状況を効率的に管理できます。手軽にカスタマイズ可能で、導入コストも低い点が魅力です。ただし、複数担当者での運用には限界がある点は注意が必要です。またExcelやGoogleスプレッドシートに関するドキュメントはインターネットや書籍でたくさん提供されている一方で、サポートがないため初期の構築や運用時のトラブル発生時であっても自分で調べて解決する必要があります。

  • 強み:初期費用が安価、導入が速い、カスタマイズ自由
  • 弱み:権限・履歴・帳簿出力が弱い、データの分散・二重管理、帳簿出力は手作業に
「Excelやスプレッドシート運用の限界」を整理したい方は、こちらもどうぞ:エクセル管理はもう限界?人材紹介会社がCRM導入で得られる3つの効果

PORTERS(ポーターズ)高機能上場企業が提供

PORTERSのLPスクリーンショット
※公式サイトより引用

「PORTERS(ポーターズ)」は、東京証券取引所グロース市場に上場しているポーターズ株式会社が提供するクラウドサービスです。人材紹介業務に特化した豊富な機能を備え、求人企業と求職者の情報を一元管理し、マッチング精度の向上と業務効率化を実現します。

主な機能としては、求人・求職者情報の管理、進捗管理、スケジューラー、売上・入金情報の管理、営業活動の分析、マーケティング支援、帳簿・書類の作成管理などがあり、これらを通じて業務の標準化と可視化をサポートします。

様々な機能を搭載している分、やや料金は高めですが、自社向けにカスタマイズをがっつり行いたいと考える人材紹介会社にはおすすめです。

  • 強み:上場企業が提供、高度な検索・レポート、外部連携も
  • 弱み:費用が高め、小規模事業者にとってはオーバースペックになりがち

MatchinGood 派遣対応UIわかりやすい

MatchingoodのLPスクリーンショット
※公式サイトより引用

「MatchinGood(マッチングッド)」は、株式会社ブレイン・ラボ(2014年に株式会社じげんが買収)が提供する、転職エージェント向けクラウド型業務基幹システムです。人材紹介業務に必要な機能を網羅しているだけでなく、人材紹介と人材派遣の情報を同一システム上で管理できるため、両方の事業を手掛ける企業に特におすすめです。

  • 強み:親会社が上場企業、シンプルUI、人材紹介と人材派遣を同一システムで管理可能
  • 弱み:運用開始後のサポートはチャット・メール

キャリアバンククラウドシンプルコスト抑えめ

キャリアバンククラウド
※公式サイトより引用

法令帳簿出力など必要十分な機能を標準で備え、UIもシンプル。柔軟な項目設計も可能で、段階的に拡張しやすいのが特徴です。シンプルな設計ということもあり、人材紹介会社向けCRMシステムの中では安価に利用が可能です。エクセル・Googleスプレッドシートと違い、電話やオンラインでのサポートもついているので「エクセルやGoogleスプレッドシートでは限界が見えてきた」「最初からある程度組織の拡張性を意識したシステムを導入したい」とお考えの人材紹介会社におすすめです。

  • 強み:低価格、シンプルUI、帳簿・権限対応、導入支援あり
  • 弱み:メール送信等、一部機能は非対応

おすすめCRMをニーズ別に比較

サービスごとの特徴を整理してきましたが、ここではニーズに応じて選びやすいように、主要なCRMを比較した表を作成しました。

ニーズ おすすめCRMサービス
人材紹介業に必要な機能を低コストで運用したい キャリアバンククラウド
人材紹介と人材派遣の情報を同一システム上で管理したい MatchinGood
自社独自の要件が多く、カスタマイズを重視したい PORTERS
とにかくコストを最小限に抑えたい Excel/スプレッドシート

価格・料金で比較する際は、中長期的な視点も忘れずに

CRMを導入する際には、機能や使いやすさに加えて、導入・運用コストを具体的に把握することが非常に重要です。CRMは長期に渡って活用するものなので、どれほど高機能であってもコストが自社の予算や利用規模に見合わなければ、長期的な活用は難しくなるからです。また、ユーザー数や機能追加によって費用が変動する場合も多いため、初期費用に加え、毎月のランニングコストも含めた総合的なコストパフォーマンスを比較検討することが大切です。

ここでは、代表的な3つのサービスについて、「初年度のコスト(5ID使用したと仮定)」と「長期間(10年間)利用した場合のコスト(5ID使用したと仮定)」という2つの観点から比較試算を行いました。初期費用の有無や月額料金体系はサービスによって大きく異なり、長期的な運用を見据えるとコスト差が顕著に表れます。以下の表では、それぞれの料金モデルをもとに試算結果をまとめています。

サービス名 料金体型 試算1(初年度、5ID) 試算2(10年間利用、5ID)
PORTERS 初期10万円+月15,000円/ID 100万円 910万円
MatchinGood 初期費用なし、月20,000円/ID 120万円 1,200万円
キャリアバンククラウド 初期費用なし、月4,980円~/ID 約30万円 約299万円

もっとも安いサービスと、もっとも高額なサービスを比較すると、10年間で900万円以上の料金差があることがわかりました。このように、CRMサービスはどれを選ぶかによって、長期的にかかるコストが大きく変わってきます。初期費用や月額料金の差は、導入当初はそれほど大きく感じられない場合もありますが、利用年数が増え、ID数が増えるほど総額に大きな影響を与えます。そのため、「なんとなく聞いたことがあるから」「知名度が高いから」といった軽い理由だけでサービスを選ぶのは非常にリスクが高いと言えます。導入前には、機能の充実度だけでなく、自社の利用規模や今後の拡張計画も踏まえ、初期費用・月額費用・長期運用コストを含めた総合的な比較検討を行うことが重要です。こうした慎重な判断が、後々の無駄なコストや運用上の不都合を防ぎ、より効率的かつ効果的なCRM活用につながります。

CRM導入時の注意点

CRMは業務効率化や売上向上に大きく貢献しますが、導入時に注意すべきポイントを押さえておかないと、思うような効果が得られないことがあります。特に人材紹介会社では、以下の点に注意しましょう。

データ移行や初期設定の負荷

既存のエクセルや他システムからCRMにデータを移行する際、フォーマットの違いや情報の重複によって作業が膨大になることがあります。事前に移行手順やデータクレンジングの計画を立てておくことが重要です。

社内教育と運用ルールの整備

CRMを導入しても、スタッフが操作方法を理解していなかったり、運用ルールが統一されていなかったりすると、情報がバラバラになり、せっかくのデータを有効活用できません。マニュアル作成や研修、定期的な運用レビューを行い、社内での定着を図りましょう。

契約形態の確認(クラウド型/オンプレ型)

クラウド型CRMは初期費用が低く導入しやすい一方で、月額費用やデータ保管場所、セキュリティに注意が必要です。オンプレ型はカスタマイズ性が高い反面、初期費用や運用コストがかさむことがあります。自社の規模や業務フローに合った契約形態を選ぶことが大切です。

過度な機能追加への注意

必要以上に多機能なCRMを導入すると、操作が複雑化し、現場の負荷が増える場合があります。IT導入の際に「システムがヒトに合わせるか?ヒトがシステムに合わせるか?」などと言われることがありますが、前者を重視しすぎると、開発コストや運用コストが割高になってしまうことも往々にしてあります。自社の業務に必要な機能を見極め、最小限で効果的に運用できる設定を心がけましょう。

CRMの導入検討にあたってよくある質問(FAQ)

よくある質問とQAカード

Q. ExcelとCRMの一番の違いは?

A.CRMのメリットとして挙げられるのが、共同編集の確実性・履歴管理・アクセス権限・ワークフロー自動化・法令帳簿出力など、組織運用で必要な機能が標準化されている点です。

Q.小規模(1〜5名)に合うCRMは?

A.低コストで必要十分な機能を備え、段階的に拡張できるキャリアバンククラウドが適しています。

Q.自社のオペレーションが複雑な場合におすすめのCRMは?

A.高度なカスタマイズ性と拡張性が必要な場合はPORTERSが候補です。

Q.いまのExcelでも回っています。無理に変える必要はありますか?

A. 現状維持が必ずしも悪いわけではありません。ただし「人が増える(人が減る)」「案件が増える」瞬間に、管理の手戻りが始まります。CRMはその“次の段階”のための投資で、トラブルが起きてから切り替えるより早期に導入した方が移行コストが低いのが実情です。

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