かつて、転職エージェントが扱うのは専門的な人材や一定以上の経験を持つハイクラス層が中心でしたが、現在は様々な業種・職種のハイクラスから未経験者層まで幅広い求人が人材紹介会社に集まっています。求職者の意識も変わってきており、最近は転職エージェントのみを利用する人も少なくありません。人事・採用担当者が転職エージェント(人材紹介会社)を利用する時にどんなことに気を付ければよいのか、またどのように活用すればいいのかをご紹介します。

この記事を書いた人

平井 伴弥(キャリアバンク株式会社 代表取締役社長。これまで中途・新卒採用領域でのべ200社以上の大手~ベンチャー企業の採用支援を行う)

転職サイトにはない、転職エージェントの活用メリットって?

転職サイトにはない、転職エージェントの活用メリット

転職エージェントを利用するメリットは何でしょうか。一般的には、次の4つが大きなメリットとして挙げられます。

成果報酬型サービスなので初期費用がかからない

転職サイトは初期費用として安いところでも10数万円、場合によっては100万円以上の初期費用がかかりますが、それだけお金をかけても応募が少なく、自社にマッチする応募者が1人もいないということもあり得ます。一方、転職エージェントは入社が決まった場合に紹介手数料として入社初年度の年収の30~35%程度を支払う成果報酬型のサービスです。初期費用ゼロで採用を始められ、しかも満足のいく人材に出会えて、かつ入社が決まるまで紹介手数料が一切かからないので、お金を無駄にしてしまうリスクが低い採用手法であると言えます。

人事の業務負荷を減らせる

転職サイトの場合、求人広告作成のための打ち合わせから、求人広告掲載後の書類選考や面接日程の調整、面接当日の対応など、採用担当者は作業工数を割く必要があります。当然応募が多ければその分人事の手間が増え、他の業務を圧迫してしまいます。その点、転職エージェントを利用すれば、基本的には条件に合った人材だけが推薦されてきます。ただし、残念ながら中には「とにかく数を打てば当たるだろう」とばかりに、応募者を精査することなくどんどん推薦してくる転職エージェントもありますので、1社だけと取引するのではなく、複数社とやり取りしていく中で、自社に合ったエージェントを見極めることが大切です。

転職サイトにはいないユーザーが見つかる

多くの転職者は、複数のサービスを活用して転職活動を行います。「マイナビ転職エージェントサーチ」が2017年7月21日~24日に、1年以内に転職経験のある全国の男女20~39歳を対象にインターネット調査(回答数200)によると、転職活動を行った際に登録したサービスは、転職サイトのみが24%、転職エージェントのみが26%。どちらも登録した人が29%、その他という人が21%という結果になりました。

転職活動をする際に登録したサービス

注目すべきは、転職エージェントのみの利用者数が転職サイトのみの利用者数を上回っている点です。転職サイトのみを採用に利用している企業は、転職者の26%、おおよそ1/4強の転職者との出会いを逃していることになります。

非公開で募集できる

時には「自社の社員や取引先等に知られることなく採用したい」ということもあるでしょう。まだオープンになっていない新事業部や新しいポジションの募集、何等かの事情で今いる社員の退職が決まっているものの、それを知られたくない場合など、転職エージェントなら、非公開で採用活動を進めることができます。

転職エージェントの種類と選び方

転職エージェントは、会社規模や得意分野によっていくつかの種類に分けられます。「とにかく応募者をたくさん集めたい」、「応募者の質を重視したい」、「レアなスキルを持った人材を探したい」など、目的によって使い分けることが大切です。

総合型エージェント

リクルートエージェント
総合型エージェントの一つ「リクルートエージェント」

いわゆる大手の転職エージェントはカバーする業界やエリアが広く、大手から中小企業、ベンチャーまで数多くの企業の求人を持っています。登録する求職者も多いため、企業側からすると多くの推薦が期待できるというメリットもあります。

代表的なサービスとしては、リクルートエージェントdodaマイナビエージェントなどが挙げられます。

特化型エージェント

ギークリー
IT・Web・ゲーム業界専門に特化したエージェント「ギークリー」

以下のように、特定のジャンルに特化するエージェントも増えてきています。

  • 業界特化:IT業界、建築業界、飲食業界、警備業界など
  • 職種特化:ITエンジニアや営業など
  • 属性特化:若手、女性、ママ、シニアなど

こういった特化型のエージェントの強みは、なんといってもそのジャンルに関する知識が豊富なキャリアアドバイザーやコンサルタントがいること。企業が求める人材の要件を正確に理解し、最適な人材を推してくれるため、手間をかけずに理想の候補者に出会える可能性が高くなります。

代表的なサービスとしては、IT・Web・ゲーム業界専門に特化したギークリーやキャリア女性に特化したリブズキャリア、営業職に特化したhape(エイプ)などが挙げられます。

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サーチ型エージェント

ハイドリック&ストラグルズ
サーチ型エージェントの一つ「ハイドリック&ストラグルズ」

いわゆるヘッドハンティングやスカウト型の人材紹介サービスです。自社が今持っている人材のデータベースだけに頼らず、様々なツテや手法で条件に合う人材を探してくれるため、非常に専門的なスキルを持っている、あるいはレアなキャリアを持っているなど、転職市場において希少な人材を探している場合に向いています。

代表的なサービスに、コーン・フェリーハイドリック&ストラグルズ縄文アソシエイツなどが挙げられます。

転職エージェントの探し方、見つけ方

転職エージェントの探し方、見つけ方

全国に25,000もの事業所があると言われる転職エージェントから、自社に合う転職エージェントを探すには、どうすればよいのでしょうか。「WEB検索で自社の業界に強い転職エージェントを探してみたが、見つからなかった」という方も多いことでしょう。そこでお勧めしたいのが、次の二つの方法です。

転職エージェントポータルサイトを利用する

マイナビ転職エージェントサーチ
出所:マイナビ転職エージェントサーチ

さまざまな企業が提供している求人情報を検索できる転職サイトのように、転職エージェントを検索できるポータルサイトがあります。

転職エージェントポータルサイトでは以下のように、業種や職種、企業タイプなどの検索軸から、転職エージェントを検索することが可能です。

転職エージェント検索軸
外資系や上場企業など企業タイプから検索ができる(出所:enミドルの転職)

転職エージェント検索軸-1
営業やマーケなど職種から検索ができる(出所:enミドルの転職)

自社の業種や企業タイプ、自社が転職エージェントを通じて採用したいと考えている職種、ポジションなどをもとに、マッチする転職エージェントを探してみると良いでしょう。

転職エージェントポータルサイトには、マイナビ転職エージェントサーチenミドルの転職イーキャリアFAなどが挙げられます。

自社に応募した求職者、転職者に聞いてみる

面接に来た求職者や、最近自社に入った転職者に「転職活動でどのエージェントに登録したか」を聞いてみましょう。自社に応募した人が利用する転職エージェントは、同じ業界・同じ職種に強い可能性が高く、より質の高い応募につながる可能性があります。また、「このエージェントは多くの求人を紹介してくれた」「あのエージェントは明らかにミスマッチな求人を推してきた」など、エージェントの質に関わる情報を得られる場合もありますので、実際に利用した印象などもぜひ聞いてみてください。

マッチする転職エージェントがすぐ見つかる、エージェントプラットフォームサービスとは?

自社に本当に合う転職エージェントを探すことは、簡単ではありません。今回ご紹介した方法で調べることができても、「実際に利用したら、期待ほどではなかった」ということもよくあります。そこでお勧めしたいのが、自社にマッチした転職エージェントを一気に集められる「エージェントオペレーション」というエージェントプラットフォームサービスです。

エージェントオペレーション
出所:https://agent-operation.com/

「エージェントオペレーション」は、簡単に言えば、自社にマッチした転職エージェントを集めたうえで、各転職エージェントとのやり取りを代行してくれるサービス。

全国4000件超の中からその企業に合う人材紹介会社を100~150社程度ピックアップし、複数のエージェントを集めたオンライン説明会で、その企業の求人の概要や魅力をアピールすることで、効率的に多くのエージェントからの紹介を受けられるようになります。利用する企業は、手間暇をかけずに母集団を形成でき、かつ応募者の質も大幅に高めることができます

採用難と言われる時代において、複数の採用手法を使うのは当たり前です。「これまでは転職サイトのみに頼ってきた」という方は、「初めての転職エージェント活用」で失敗しないよう、ぜひこれらの情報を役立ててください。